ピリオフェノン ガイド

ピリオフェノンの特性

薬剤耐性菌管理の考え方

ピリオフェノンは新規の作用性を持ち、うどんこ病に優れた防除効果を発揮します。

ピリオフェノンの作用性は、アクチン重合不全によりその機能を低下させるところにあります。アクチンは細胞分裂などに重要な機能を示すタンパク質なので、ピリオフェノンが作用することで細胞分裂の不全が生じ、うどんこ病菌の胞子および胞子柄の形態異常を引き起こします。

ピリオフェノン処理

ピリオフェノン処理

細胞分裂の不全による胞子および胞子柄の形態異常

無処理

無処理

健全な胞子および胞子柄

抗菌スペクトラム

ピリオフェノンは各種うどんこ病に優れた効果を示します。

ピリオフェノンはいちごや小麦などの表皮寄生性うどんこ病やピーマンなどの内部寄生性うどんこ病に対しても効果を示します。

学 名 主な宿主 病 名 寄生性 基礎活性※1 圃場試験※2
Blumeria graminis 小麦 うどんこ病 表皮
Podosphaera aphanis いちご 表皮
Podosphaera xanthii きゅうり 表皮
Golovinomyces cucurbitacearum 表皮
Erysiphe cichoracearum なす 表皮
Sphaerotheca fuliginea すいか 表皮
Sphaerotheca fuliginea メロン 表皮
Erysiphe cichoracearum トマト 表皮
Leveillula Taurica 内部 -
Leveillula Taurica ピーマン 内部
Podosphaera leucotricha りんご 表皮 -
Phyllactinia pyri-serotinae なし 半内部 -
Phyllactinia kakicola かき 半内部 -
Erysiphe necator ぶどう 表皮 -
Oculimacula acuformis 小麦 眼紋病 -

1 ポット試験又は菌糸伸長阻害試験により評価 〇:効果あり、-:試験事例なし(社内試験 石原産業(株)中央研究所(2011))

2 日本植物防疫協会、委託試験において「IKF-309 SC」の総合判定評価結果を、A判定:10点、B判定:5点、C判定:2点、D判定0点として点数化し、合計点数を試験例数で割ることで10段階に区分 ◎:10~8点、○:7~5点、△:4~3点、×:2~0点 (日本植物防疫協会 委託試験2009~2013)

本表は過去の試験データに基づいて作成しており、ピリオフェノンを含有する殺菌剤クロスアウトフロアブル、カッシーニフロアブル、ラミック顆粒水和剤において未登録の作物も含まれております。実際の使用に当たっては登録内容をご確認の上ご指導をお願いいたします。

表皮寄生性うどんこ病菌と内部寄生性うどんこ病菌について

表皮寄生性
  • 菌体のほとんどが植物の表面に露出
  • 吸器という細胞を表皮細胞に挿入して養分を吸収
表皮寄生性
内部寄生性
  • 菌体が葉内の細胞間隙を進展
  • 気孔を通して葉内に挿入、分生子柄を気孔から伸長し分生子を放出
内部寄生性