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サツマイモ基腐病と防除方法

九州を中心として被害が深刻化しているサツマイモ基腐病。全国各地で発生が確認され日に日に被害が拡大しています。
当社では、2023年6月7日付で、殺菌剤「石原フロンサイドSC」「石原フロンサイド粉剤」が適用拡大されましたので、本記事では、サツマイモ基腐病における両剤の上手な使い方や体系防除例をご紹介します。

サツマイモ基腐病とは


サツマイモ基腐病は、Diaporthe destruens(ディアポルテ・デストルエンス)という糸状菌に感染することにより、苗床や本圃で発生します。基腐病菌は、主に、感染した種イモや苗を植え付けることで圃場に持ち込まれます。また、土壌中の前作罹病残渣からも感染します。発病すると初期症状として地上部の萎れ、葉の退色やアントシアンが生じ、茎の地際部に黒変を生じます。茎の黒変は本病原菌の胞子が詰まった柄子殻であり、この胞子は、降雨により生じる停滞水や跳ね上がりなどにより周辺株に広がり、基腐病のまん延を引き起こします。

感染株の初期症状:葉の退色や地際部の黒変
(感染株の初期症状:葉の退色や地際部の黒変)

基腐病発症圃場の様子
(基腐病発症圃場の様子)

感染し腐敗したサツマイモ
(感染し腐敗したサツマイモ)

サツマイモ基腐病のまん延を防ぐ3つのポイントは、基腐病菌を「持ち込まない」「増やさない」「残さない」ことです。そのため、健全苗または種芋を使用することはもちろんのこと、苗消毒、汚染土壌の殺菌、茎葉散布による体系防除が必須となります。病原菌による土壌の汚染が進んでからの防除は難しくなるため、早期に発見し、少発生のうちに徹底的に「増やさない」「残さない」対策を実施しましょう。 このうち、サツマイモ基腐病を「増やさない」対策の一環として、殺菌剤「石原フロンサイドSC」「石原フロンサイド粉剤」の上手な使い方や注意点をご紹介します。

 

サツマイモ基腐病の体系防除における注意点とフロンサイドSC/粉剤の位置付け


殺菌剤「石原フロンサイドSC」「石原フロンサイド粉剤」は植物体内への浸透移行性はほとんどないので、治療効果は期待できませんが、残効性、耐雨性にすぐれ、高い予防効果を発揮します。本剤の効果をしっかりと発揮させるために本剤の処理タイミングと効果のイメージ(一例)をご紹介します。
図:薬剤の処理タイミングと効果のイメージ(一例)

  • 苗がすでに感染している場合はフロンサイドSC・粉剤を使用しても効果が期待できません。必ず健全苗や苗消毒したものを植付けてください。
  • フロンサイドSC・粉剤の土壌混和処理の効果は土壌からの一次感染のみで、その効果はおおむね2ヵ月程度です。
  • フロンサイドSCを散布処理する場合は、蔓が畝間に下りる前*(概ね植付後3~8週目を目安)の散布が有効です。畝間の病原菌に汚染された土壌からも感染が生じるため、株、株間、畝間の土壌を含む全面に、ムラなく均一にたっぷり散布してください。
  • 基腐病発病株の抜き取りをする場合は、必ずフロンサイドSC散布前に行ってください(薬効・かぶれ)。
  • 蔓が下りた後も定期的に茎葉に登録のある薬剤をローテンション散布してください。
  • 前作、サツマイモ基腐病の発病が多かった圃場では十分な効果を発揮できない場合があります。


*蔓が畝間に下りる前の目安(畝間の土壌が見えている状態)例

フロンサイド剤を植付前に土壌混和処理する場合の上手な使い方

適用病害と使用方法(かんしょ抜粋)

作物名 適用病害名 希釈倍数 10アール当り使用液量 使用時期 本剤の使用回数 使用方法 フルアジナムを含む農薬の総使用回数
かんしょ 基腐病 1000倍 100~300ℓ 収穫30日前まで 2回以内 散布 3回以内
(植付前は1回以内、植付後は2回以内)
作物名 適用病害名 10アール当り使用量 使用時期 本剤の使用回数 使用方法 フルアジナムを含む農薬の総使用回数
薬量 希釈水量
かんしょ 基腐病 500㎖ 50~200ℓ 植付前 1回 全面散布土壌混和 3回以内
(植付前は1回以内、植付後は2回以内)
全面土壌散布
作物名 適用病害名 10アール当り使用量 使用時期 本剤の使用回数 使用方法 フルアジナムを含む農薬の総使用回数
かんしょ 基腐病 40kg 植付前 1回 全面土壌混和 3回以内
(植付前は1回以内、植付後は2回以内)

 

当社ホームページの各薬剤の製品情報にて最新の登録情報なども確認できますので是非ご覧ください。